2014年08月12日

8月に読みたい一冊




8月は終戦記念日があります。


先日、「へいわってすてきだね」という絵本を買いました。


この作品、文章を書いたのは、小学一年生のこどもさんです。


沖縄の与那国島に住む小学校1年生(当時)のあさと・ゆうき君という男の子が書いた「詩」でして、
もともとは昨年6月の「沖縄全戦没者追悼式」でゆうきくんが朗読し、
それを聞いた沖縄のおじいさんおばあさんが涙をしたそうです。


書き出しは、


「へいわってなにかな ぼくはかんがえたよ」から始まり、


・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・


「おともだちとなかよし」


「かぞくがげんき」


「えがおであそぶ」


と、少年の純粋な心で、「へいわってなにかな」が語られます。



この詩の話を聞いた長谷川義史さんという人気の絵本作家さんが、
実際に沖縄の安里君を訪ね、話をして、絵本としてこの世に送り出されたました。


出だしは、文章もイラストも


「へいわっていいね、へいわってやさしいね」


・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「みんなのこころから へいわがうまれるんだね」


と、暖かい言葉や色で表現されていますが、途中、突如、ページが真っ黒にかわり、


「せんそうはおそろしい」


「どどーん、どかーん」


「ばくだんがおちてくる こわいおと」


「おなかがすいて くるしむこども」


「かぞくがしんでしまって なくひとたち」


と、戦争の悲惨さが描写がされます。


きっと、安里くんは「沖縄」という土地に生まれ育って、
「せんそう」というものを身近に感じる機会が多いでしょう。


考えることも多かったでしょう。


真っ暗なページが終わると、今度は緑いろの明るいページに変わり、
目をつぶってすがすがしい表情を浮かべた男の子が大きく描かれます。


一行目が、


「あぁ、ぼくはへいわなときにうまれてよかったよ」



。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。



わたしは、この一行を読んだ時に、はからずもハラハラハラと涙がこぼれてしまいました。


安里君がまっすぐな心で感じた
「あぁ、ぼくはへいわなときにうまれてよかったよ」という言葉が、
ストレートに胸に刺さりました。


ラストは、与那国島の大地に立つ少年が美しい海を眺めている風景をバックに、


「これからも、ずっとへいわがつづくように」


「ぼくも、ぼくのできることからがんばるよ」


というメッセージで閉じられます。


私も自分が母親になってみて、子どもに戦争の悲惨さや平和の大切さを伝えたいな、とは思うのですが、私自身、聞いた話でしか戦争を知らないので、どうしたらムスコに核心を伝えられるのかな、と実は心もとなく感じていました。

そんな時、ちょうど手にとったのが、この、「へいわってすてきだね」。

一人の少年が送る純粋で力強いメッセージは、同じ子どもたちの心にダイレクトに響いていってくれるのではないかなと確信しました。


4歳のムスコは、わからないなりに神妙な顔つきでこの絵本に見入っています。


少しずつ、彼なりに感じていってくれたらいいな、というのがハハの願いです。


そして、安里くんんが言うように、
「ぼくも、ぼくのできることからがんばるよ」と、私たち大人ひとりひとりが本気になったとき、
世の中はもう少し変わるのではないか、、そんな風に感じるのです。




(2014.8.12.CBCラジオ「気分爽快!多田しげおの朝からPON」内「話題のカルシウム」でお話したことをもとに書きました。)

  


Posted by 原田裕見子 at 14:41絵本・読み聞かせ